基本知識と世界の動き

ペリネイタル・ロス(周産期喪失)への理解を深めるために

🌍海外の状況と基本

  • Baby Loss Awareness Week (BLAW):毎年10月9日〜15日は、亡くなった赤ちゃんを想い、ご家族を支援する国際的な啓発週間です。
  • Wave of Light:最終日の10月15日午後7時(現地時間)にキャンドルを灯し、世界中を光のリレーで繋ぐ追悼行事が行われます。
  • 法整備と支援:イギリス(Sands等の強力な支援団体)やニュージーランド等では、流産・死産を経験した親に対する有給の忌引休暇が法的に認められるなど、社会的なセーフティネットが進んでいます。

🇯🇵日本の現状と最近の話題

  • 啓発の広がり:近年、日本でもBLAWに合わせて東京タワーや各地のランドマークがピンクとブルーにライトアップされる活動が広がっています。
  • 行政の取り組み:厚生労働省が「流産・死産等を経験された方への心理社会的支援ガイドライン」を策定。一部の自治体では、亡くなった赤ちゃんのための「エンジェル手帳」や証明書を発行する動きも広がっています。
  • ピアサポートの拡充:当事者団体によるSNSを通じた繋がりや、オンラインでのグリーフケアカフェの開催が活発化し、孤立を防ぐ取り組みが進んでいます。

決して「珍しいこと」ではありません

知ることが、寄り添う第一歩。

社会の中ではタブー視されがちで語られることが少ないため、当事者は「自分だけではないか」と深く孤立してしまいます。 しかし、実際にはすべての妊娠の約15%が流産という結果になり、死産や新生児死も存在します。

この事実を知ることは、周囲が過剰に腫れ物扱いせず、適切な支援の手を差し伸べるための第一歩となります。 「語ってはいけないこと」から、「共に悲しみを受け止めること」へ。社会の意識を変える必要があります。

※一般的な医療データに基づく発生割合の目安

立場ごとの理解とケア

該当するタブから、各立場での見え方や必要な支援をご覧ください。

周囲の方・一般社会としての寄り添い方

友人や同僚、親戚が赤ちゃんを亡くした時、どのような言葉をかければよいか戸惑うかもしれません。 大切なのは、問題を解決しようとするのではなく、悲しみに寄り添うことです。

❌ 避けるべき対応・言葉

  • 「また次があるよ」「若いうちでよかった」 亡くなった子はその子だけであり、代わりはいません。
  • 「早く忘れて元気を出して」 悲しむ時間を奪う言葉です。
  • 「原因は何だったの?」 母親が自分を責めている場合が多く、負担になります。
  • 腫れ物扱いして連絡を絶つ 孤立感を深めてしまいます。

⭕ 望ましい対応・言葉

  • 「辛かったね」「何かできることがあったら言ってね」 そのままの事実を受け止め、存在を認める言葉。
  • 赤ちゃんの名前を呼ぶ 名前があれば、一人の人間として扱うことが最大の癒しになります。
  • ただ黙って話を聴く アドバイスは不要です。泣きたい時に泣ける環境を作ること。
  • 家事などの具体的なサポート 食事を届けるなど、日常の負担を減らす手伝い。

当事者のご家族・ご親族へ

今、深い悲しみと混乱の中にいらっしゃるかもしれません。 あなたの悲しみは当然のことであり、期間や程度に「正解」はありません。

🤍悲しむ権利(グリーフ)

無理に前を向こうとする必要はありません。怒り、罪悪感、無気力など、様々な感情の波が訪れるのは正常な反応(モーニング・プロセス)です。自分を責めないでください。

📸メモリーメイク

病院で、赤ちゃんの手形や足形をとったり、写真を撮ったり、髪の毛を残したりすることは、後々ご家族にとってかけがえのない宝物(生きた証)になります。迷ったら残すことをお勧めします。

🤝ピアサポート

周りの人に理解されない辛さを抱えた時、同じ経験をした親同士(ピア)で語り合う自助グループやカフェが全国にあります。一人で抱え込まず、繋がれる場所を探してみてください。

「あなたは一人ではありません。赤ちゃんの存在は、確かにここにありました。」

医療従事者・支援者の方へ

医療機関での最初の対応が、その後のご家族のグリーフプロセスに決定的な影響を与えます。 「ペリネイタル・ロスケア」は、身体的治療と同等に重要な医療行為です。

1. 空間・環境の配慮

他の妊産婦や新生児の泣き声が聞こえない個室(ファミリールーム、別室)の用意。病室のドアにピンクやブルーのマーク(エンジェルマーク)を付け、全スタッフが状況を共有し、不用意な声かけを防ぐ体制づくりが重要です。

2. 選択肢の提示と意思決定支援

「赤ちゃんを抱っこするか」「沐浴をするか」「写真を撮るか」。ショック状態のご家族は判断が難しいため、「多くの方はこうされていますよ」「後から残しておけばよかったと思う方も多いです」と、優しく選択肢を提示し、家族のペースでの意思決定を支えます。

3. 継続的なケアと地域連携(切れ目のない支援)

退院時が最も孤立感が高まります。退院後の電話訪問、外来での心理的フォロー、地域の保健師や当事者団体(自助グループ)に関する情報の提供など、医療機関内だけで完結しないサポート体制が求められています(厚労省ガイドライン準拠)。

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